2018年のPISA(学習到達度調査)の結果を受けて解説します

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国際的な学力調査で有名なPISAというテストがあります。国や地域ごとに算出されるものですが、その結果を追って、各国が、どのようなことをコメントしているのか、また、どのように解釈すべきかを議論していきたいと思います。

PISAの試験は、15歳児の読解力、数学、科学と、それぞれのリテラシー、つまり、解釈する能力を測定するものです。基本的に経済協力機構(OECD)の国で実施されていますが、それ以外の都市(上海など)でも行われています。

テストに携わっているのは、オーストラリア教育研究所を中心に、日本の組織などもかかわっています。

そのため、教育ニュースにおいては、イギリス、オーストラリア、日本では、テストの結果を見て、「どの国が躍進しているか、なぜ、我が国は、なかなか点数が上がらないか」などの議論が活発でした。

一方で、アメリカは、PISAに関しては、参考にしますが、点数だけで学力を判断することに懐疑的な態度は、一貫しています。

それでは、私がどう見るかですが、今までのデータや、自身の教育経験から、多少、独断的にはなりますが、解説していきたいと思います。

PISAの点数が高いというのは、その国や地域における、教育インフラが整っていて、生徒、教師、親、社会なども含めて、教育政策に、ほぼ一致した意見が共有できている、ということだと思います。

実際、アジアの国々のように、幼少期から、学習やテストの訓練が一般的であったり、人口が少なく、教師の質もある一定程度、長期にわたって保たれているところが上位に行きやすいと、見ることもできます。

実際、そのような環境の下では、生徒、個々人の家庭収入の格差は、学力の格差に反映していないという結果が出ているようでした。

そういう面から言えば、日本のように、1億人規模の人口を抱えたうえで、これだけ上位に位置することができるのは、欧米から見ると、めずらしいとのことですが、一方で、アジア的な教育環境から言えば、まぁ、当然なのかもしれません。

一方で、アメリカのように、自由な教育を主張する国からすると、テストの点数だけで判断するのは、文化的に合わないようですが、最近では、アジア流に見習って教育改革も行われていますし、PISAの点数も少しずつではありますが上がっているようです。

しかしながら、一方で、面白い論文があったので紹介します。タイトルは、Side Effects of Large-Scale Assessments in Educationで、カンザス大学とアラバマ大学の共同研究です。

題名の通り、PISAも含めて、いわゆる大規模な標準テストで良い点数を取るような教育には、副作用がある、と主張しています。

統計的にわかったのが、テストの点数上昇と裏腹に、生徒の実生活における充実さが低く出る傾向にあったようです。ある意味、肌感覚で理解できます。テストで成功するには、しつけや訓練が必要です。いわゆる、スパルタ的な教育ですが、自分の好きなことやリラックスする生活を犠牲にしなければいけません。

確かに、基礎学力がある方が、人生において成功しやすいですし、社会全体にとっても利益になるのですが、アメリカ流の、自由や創造性、人生や人に対する寛容性から来る、社会全体のダイナミズムは、単にテストの点数を稼ぐお利巧な生徒だけでは、実現が難しいかもしれません。

また、一つや二つの方法ですべてがうまくいくこともないですし、成功の裏には、失敗や、あらゆる問題も山積みになっているのは、世の常です。このような中で、生きる術を習得するような教育が理想なのかもしれません。

大人のための家庭教師

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