万有引力は最も古い定式なのに、最も難しい実験なのです。

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ニュートンで有名な万有引力の法則ですが、ひじょうに弱い力であって、関連する数値を実験で求めるのが一番難しいというのは、ご存じでしょうか。

そもそも、この法則は、質量と質量が引き合うというものです。もちろん、人間同士も重力によって引っ張り合うのは理屈上、正しいのですが、あまりに弱すぎるので、ほとんど影響ありません。

いかに弱いか、ですが。。。例えば無重力状態で、200㎏の二人が10メートル離れているとします。

彼らが、彼らの重力だけで引き合うとして、どれくらいの時間でハグできると思いますか?大体、36時間かかります。たったの10メートルを引き合うのに地球の時間で約1日半かかるというくらい、弱い力なのです。

ここで、少し数式を持ち出したいのですが、嫌いな人は、ここは飛ばしてもいいです。

先ほども言いましたが、質量 M と 質量 m の間に力が働くのが引力の法則です。つまり、力は質量に比例します。一方、距離が離れていれば、およぼす力は弱くなります。引力は、距離の2乗に反比例します。

つまり、引力を F として、F = \frac{GMm}{r^2} というように定式化されます。質量に比例して、距離の二乗に反比例です。ところで、G ですが、これは、力のスケールを決める数値で、万有引力定数と言います。

重力はひじょうに弱いことから、その定数も小さいということが予測されます。概算でも小数点以下に10個もゼロが並ぶくらい小さいのです。

ということで、ニュートンが、発見してから、その定数を実験的に求めるのに100年かかりました。キャベンディッシュという人なんですが、彼が、質量と質量が引っ張り合ってできた「ねじれ」を使って、測定に成功しました。

当時の値が G=6.75 \times 10^{-11} \mathrm{m^3 / kg \cdot s^2} で、今から220年ほど前です。

実は、現在の精度でも、6桁くらいしか「確か」でないのは、この定数くらいです。ある意味、大変な実験なのです。。。

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Photo credit: NASA Goddard Photo and Video via VisualHunt / CC BY(写真は月の重力マップです。)

これだけ知れば、「勝利の」微分方程式の概念が分かる!

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よく「勝利の方程式」と言われますが、ある種の条件に対して、そのような対処をすれば、このような結果が出る、という状況のことを言いますね。

スポーツの世界の「方程式」は、複雑で不確定な条件も細かいところであるので、確率的になりますが、簡単なものでは、「千円の予算で1個50円のリンゴを最高でいくつ買えますか?」という問いには、個数をxとして、50x=1000、という方程式を解けばいい形です。

前回、微分・積分に関して、お話ししましたが、微分とは「瞬間、瞬間の変化」を表します。

その変化の条件が分かっていれば、微分方程式というものが作れます。

そして、「微分方程式を解く」というのは、その瞬間、瞬間をつなげていって、全体像を、例えば、時系列にそって、どう変化しているのかを求めることなのです。

有名なところでは、ニュートンの運動方程式です。あれは、簡単で、(力)=(質量)・(加速度)です。

実は、加速度というのは、位置を時間で2回微分したものです。(一回すれば、速度です)

方程式の中に微分があるので、運動方程式は、微分方程式です。解答を得るために、「繋げて」いくのですが、技術的には「積分」をすることによって、刹那、刹那を繋げていくということです。

微分方程式に関しては、物理に関わらず、生物の個体数の増減など、身近なもので、時間的に変化するものなどに応用されています。

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遠心力って本当は存在しない?これだけ知れば、あなたもハナタカ

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物が回れば、中に入っているものが遠心力を受ける、という表現は、間違ってはいないのですが、遠心力というものが独立して存在するというのは、違います。

「車を運転して、ハンドルを右に切れば、左に体が引っ張られるじゃないか!」と言いますが、ハンドルを切る方向に力をかけたから、左に「見かけの力」が働いただけなのです。

つまり、遠心力も同じで、向心力(中心に引っ張る力)があるから、外側に離れていくような見かけの力(遠心力)が生じるということです。

このような話をすると、禅問答のように聞こえがちですよね。「あなたの言ってることは、わからないではないが、ピンとこねぇ」なんて声が聞こえそうです。。。

では、明快な例を示しましょう。糸の先に物体を付け、糸の先をもって回してみます。下の絵を見てください。

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二つの絵がありますが、いずれもBの場所で糸を離しています。もし、遠心力が実在した力であれば、左の絵のように、離れた時点で、外側に物体が飛んでいくはずです。

しかし、現実は、右の絵のように円運動の接戦方向に飛んでいきます。つまり、遠心力というのは、そもそも物体には、かかっていないのです。

多少の混乱はあるでしょうが、「本物」の力と見かけの力の違いというのは、物理学を矛盾なく進めていくのに重要である、と覚えてもらえれば、うれしいです。

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補足: ご指摘にもありましたように、ここでの説明は、あくまで初歩的なものになります。ですから、誤解を招くような表現もあるかもしれません。ただ、実際に、円運動をしている物体にかかっているのは、向心力だけです。そうでなければ、円運動を物理学的に記述できないのです。また、上の図例は、遠心力が独立して物体に働いていないことを示しているだけということも、ご了承ください。

現実には、遠心力などは非慣性系を考慮したときに出てくる力で、これを物理の用語で「見かけの力」(英語でfictitious force)と言います。もちろん、それらの力で説明できる現象などもあり、ここでは、すべてを解説していませんので、ご興味のある方は、正規の教科書を参照したり、授業を取ることをお勧めします。

本当は、数式だけでは何も表現できない、この世界

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ニュートンが発見した運動の法則は、力、質量と加速度の関係によって、あらゆる運動を説明できます。

また、運動を一般化することにも貢献しています。例えば、地球の引力でリンゴが落ちるという運動と、地球が太陽に引っ張られながら回っているというのは同じ法則で説明できます。

このように、物体同士が引き合うことを重力と言いますが、もっと一般化してみましょう。

二つのほぼ同じ質量を持った、球体があるとします。もちろん、2体は重力によって引き合います。

太陽と地球のように、互いに回転して釣り合っているとして、2物体の運動は、1物体の運動に書き直すことができます。

つまり、二つの物体は、その「中間の点」の運動とみなすことができるのです。この状態における方程式の解は、数式の形で書き表せます。

では、もう一体、同じくらいの重さの物体を加えてみましょう。3つの物体が引き合う状態を、頭に思い浮かべられると思います。

この問題も簡単に解けるとお思いでしょうが、実は、簡単な数式で書き表せないのです。これは、結構前に数学者によって証明されました。

世の中には、3体以上かかわっている運動は、山ほどあります。もちろん、コンピュータを使って、数値として全体の運動を表現できますが、数式として書き表せるのは、実は、ほんの一部の状態なのです。

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これだけ知っていれば自慢できる物理の話

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身の回りで起こっていることを、数字にすると結構驚く事ってありますよね。

例えば、太陽の大きさは地球から見ると大したことがないですが、体積比で約地球の130万倍の大きさがあります。

その太陽が石炭のようなものでできているとしたら、約数千年で燃え尽きてしまいます。そんなに大きくても、それだけ勢い良く燃えていれば、すぐに燃え尽きてしまうのです。

「数千年でもすごい!」とお思いでしょうが、太陽の現在の年齢は約46億年と言いますから、数千年なんて太陽の人生にとっては一瞬の出来事です。

それでは、どうしてあれだけのエネルギーを、こんなに長い間出し続けられるのでしょうか?

実は太陽では核融合が起きて、エネルギーが放出されます。大きな太陽が生む重力が原子を狭いところに閉じ込められるために、実現できることなのです。

もう一つ、太陽がらみですが、地球と太陽の距離を想像できるでしょうか?「遠いようで近い、近いようで遠い」という感じでしょうか。まるで、お釈迦様の説教のようですが。。。

まじめな話をすると、光の速さ(電波の速さと同じ)で約500秒かかります。8分と20秒と言ったところです。中継で声だけが遅れて見えるという次元からほど遠い感じです。

これでもピンと来ませんか?では、地球の大きさをパチンコ玉くらいに縮小したとしたら、太陽までの距離はどれくらいになるか考えるといいかもしれません。

単純な比の計算、つまり、割り算をすると、100から200メートル先に太陽があるという計算になります。

結構離れてますね。常識的なものもありますが、知っているとちょっと自慢できる知識だと思います。

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サイン、コサイン、いつ使うん?(笑)これだけわかれば、いつ使うか理解できます

サイン・コサイン
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三角比といえば、サイン、コサイン、タンジェントですね。直角三角形を目の前にして、高校生の時、「サインは、どの辺と、どの辺の比だったけ?」なんてやってましたね。

「サイン、コサイン、いつ使うん」って言ってる人もいましたが、本当にいつ使うのでしょうか?

一般の人が日常的に使う事は少ないかもしれませんが、知っていると自慢できるようなのもあります。

例えば、目の前にある建物から自分までの距離を測ります。歩幅などを使って近似しても良いでしょう。

それから、分度器、ストロー、糸、重りで作るような簡単な角度測定器で、地面から建物のてっぺんまでの角度を見積もります。

そうすると、タンジェント(tan)を使って、建物の高さが、求められます。つまり、「高さ=距離・tan(角度)」という感じで計算できます。

直接、測れないような高いものの高さを見積もるには、この方法を使うのがいいでしょう。一般的に、角度と距離の関係を定式化したのが三角比やそれに関連する定理(余弦定理や正弦定理など)なのです。

また、サインやコサインは、角度を増やしていっても、元に戻るという性質があります。つまり、繰り返すという性質です。

身の回りで言えば、波、音波、電波といったものでしょう。こういったものを、科学・工学的に解析するのにサインやコサインが使われます。

波だけではなく、振り子やバネの運動も、繰り返し運動なので、同様にサインとコサインが使われいます。

また、数学的にも便利な点が多数あります。特にサインとコサインは、微分・積分で互いに相補的な関係であることから、数学的な操作などで扱いやすいというのもあります。

さらに、サインやコサインのような波の形は、足し算も簡単なのです。つまり、その場その場の波の高さを足し合わせるだけです。これを重ね合わせの原理というのですが、これを利用することによって、あらゆる形の波をサインやコサインの足し算で近似することもできるのです。

他にも、光の現象や量子力学にも、三角関数は使われているのです。量子力学なんて関係ない、と思われるかもしれないですが、いわゆる、デジタルデバイスを作った、そもそもの理論に当たります。(みなさん、使っているでしょう)

もちろん、他にもいろいろと使われている三角比・三角関数です。ここまで読めば、「いつ」使われるかおわかりでしょう。

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